5大栄養素の役割 ビタミン編

近年ビタミン配合食品の増加や健康意識の向上により、なんとなく体のためにと意識して摂る人も多いのではないでしょうか?ビタミンには様々なはたらきがありますが、こちらでは主にダイエットしている人向けにビタミンを摂る必要性やそれぞれの役割を解説していきます。 目次

1.5大栄養素”ビタミン”とは

ビタミン・ミネラルはエネルギーにはなりませんが、タンパク質、脂質、糖質の分解や合成を助ける働きを持ち、健康維持、体調管理には欠かせない栄養素です。体内ではほとんど合成することができないため、食物から摂取する必要があります。ビタミンが不足すると、体の代謝や生理機能を正常に保てなくなってしまいます

2.ビタミンの種類とその役割

ビタミンは大きく分けて脂溶性・水溶性の2つに分かれています。それぞれの役割を見ていきましょう。

脂溶性ビタミン

脂溶性ビタミンは文字通り水に溶けない性質があり、主に脂肪組織や肝臓に貯蔵されます。身体の機能を正常に保つ働きをしていますが、摂りすぎると過剰症を起こすことがあります。ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKがこの脂溶性ビタミンに当たります。身体によいと思って毎日レバーを食べていると、ビタミンA過剰症になるおそれがあります。

ビタミンA

暗所での視力を保ち皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。 胎児や乳幼児の成長を促進したり正常な免疫機能を維持するはたらきもあります。 不足すると 角膜や目の粘膜が傷ついて視力が落ちたり、暗いところでものが見えない夜盲症のリスクがある 過度のアルコール摂取は、貯蔵されているビタミンAを消耗します。 妊娠中の方がビタミンAを摂りすぎると胎児に先天異常が生じる可能性があるため注意が必要です。 1日の必要量 男性:850μgRAE 女性:650μgRAE

ビタミンD

腸管でカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。 ミネラルの代謝や恒常性の維持、骨の代謝に関係しています。 不足すると カルシウムの吸収低下や骨代謝異常を引き起こします 高齢者では骨密度が低下し、骨粗しょう症や骨折のリスクが高まります 1日の必要量 男性:8.5μg 女性:8.5μg

ビタミンE

脂質とともに腸管からリンパ管を経由して体内に吸収されます。抗酸化作用が非常に強く、血中のLDLコレステロールの酸化を抑制したり、 赤血球の破壊を防いだりするはたらきが知られています。また、細胞の酸化を防ぐため、老化防止にも効果があります。 不足すると... 酸化したコレステロールが溜まり神経や筋障害の症状がみられることがあります。冷え性や頭痛、肩こり、動脈硬化の原因につながります。 抗酸化力が低下するため、肌を紫外線などの刺激から守りにくくなり、シミやシワができやすくなります。 1日の必要量 男性:6mg 女性:5mg

ビタミンK

出血した時に血液を固めて止血するはたらきがあります。 骨にあるたんぱく質を活性化するため、ビタミンKは骨粗しょう症の治療薬としても使われています。 抗酸化作用により、体内の脂質の酸化を防いで体を守る働きがあります。この働きから、体内の細胞膜の酸化による老化や、血液中のLDLコレステロールの酸化による動脈硬化など、生活習慣病や老化と関連する疾患を予防することが期待されています。 不足すると... 鼻血、胃腸からの出血、月経過多、血尿、血液凝固の遅延などの症状が現れます ビタミンKは腸内細菌によっても合成されるため、不足することは稀です。しかし、抗生物質の長期投与している人、腸内細菌からのビタミンK供給が少ない新生児、加齢により腸管からの吸収率が低下した場合もビタミンK欠乏症を起こすことがあります。 1日の必要量 男性:150μg 女性:150μg

水溶性ビタミン

水溶性ビタミンは血液などの体液に溶け込んでいて、余分なものは尿として排出されます。このため体内の量が多くなり過ぎることはあまりないと考えられています。体内のさまざまな代謝に必要な酵素の働きを補っています。ビタミンB群(B1、B2、B6、B12ナイアシンパントテン酸葉酸、ビオチン)、ビタミンCが水溶性ビタミンに当たります。

ビタミンB1

糖質からのエネルギー産生と、皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きをします。また糖質を栄養源として使っている脳神経系の正常な働きにも関係しています。 不足すると... 糖質が十分にエネルギーを産生できないため、食欲不振、疲労、だるさなど症状になります。ブドウ糖をエネルギー源としている脳や神経にも障害を起こします。 最近インスタント食品の利用が増加し、ビタミンB1不足による脚気が報告されています。また、多忙な人や激しい運動をする人ほどエネルギーを使う為、体内でビタミンB1が不足しやすくなります。 1日の必要量 男性:1.4mg 女性:1.1mg

ビタミンB2

皮膚のビタミンとも呼ばれ皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きをするビタミンで、糖質、脂質、たんぱく質を体内でエネルギーにするなどの代謝を支える重要な働きをしています。活発に活動し、エネルギーをたくさん消費する人ほどビタミンB2はたくさん必要になります。 尿が濃い黄色になることがありますが、これはビタミンB2の色によるものです。 不足すると発育・成長が阻害されるほか、口の端が切れる口角炎口内炎、舌炎などのように、皮ふや粘膜に炎症がおこりやすくなります。これは皮ふや粘膜は生まれ変わりが速い組織であるため症状が現れやすいからです。 成長障害、口角炎、舌炎、咽喉炎、皮膚炎が見られます 1日の必要量 男性:1.6mg 女性:1.2mg

ビタミンB6

ビタミンB6は、たんぱく質からのエネルギー産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。妊娠中のつわりを軽くしたり、アレルギー性の病気を防ぐ働きもあります。筋肉や血などがつくられたりする時に働いているため、たんぱく質を多くとる人ほどたくさん必要になります。 不足すると... 湿しんなどの皮ふ炎や口内炎、免疫力の低下、貧血、聴覚の異常などがおこります。ビタミンB6は腸内細菌によってもつくられることから、一般的には不足しにくいのですが、 抗生剤を長期間飲んでいる人では不足することがあります。また、生理前に憂うつな症状のでる月経前症候群の人では、体内でビタミンB6不足がみられたという報告もあるそうです。 1日の必要量 男性:1.4mg 女性:1.1mg

ビタミンB12

葉酸と協力して赤血球中のヘモグロビン生成を助けています。また、脳からの指令を伝える神経を正常に保つ役割もあります。 不足すると... 赤血球が減ったり、異常に巨大な赤血球ができてしまったりする、巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)という悪性の貧血がみられます。 ビタミンB12は体内で腸内細菌によってつくり出されることもあるため、極端な偏食でなければ不足はおこりにくいのですが、胃や腸を手術で切除した場合など、 ビタミンB12の吸収に問題がある人、動物性食品をあまり食べない人では、不足する可能性があるため注意が必要です。 1日の必要量 男性:2.4μg 女性:2.4μg

ナイアシン

皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。 ナイアシンは、糖質、脂質、たんぱく質から、細胞でエネルギーを産生する際に働く酵素を補助する不可欠な働きをします。 必須アミノ酸トリプトファンからも合成することができます。 ナイアシンが不足するとペラグラという病気になることが知られています。症状としては赤い発疹ができる皮膚症状、口舌炎や下痢などの消化管症状、神経障害などです。 1日の必要量 男性:15mg 女性:11mg

葉酸

赤血球の細胞の形成を助けたり、細胞分裂が活発である胎児の正常な発育に寄与する栄養素です。 たんぱく質や細胞をつくる時に必要なDNAなどの核酸を合成する重要な役割があります。 また、妊娠初期の女性が十分な葉酸を摂取すると、胎児において神経管閉鎖障害という神経管の発育不全になるリスクを減らすことがわかっています。さらに最近では、成人において脳卒中心筋梗塞などの循環器疾患を防ぐという研究結果が多数報告されています。 不足すると... 通常の食生活では摂取不足による欠乏の心配はほとんどありません。 葉酸は、ビタミンB12と協力して血液をつくる働きがあるため、欠乏症ではビタミンB12不足の際と同様、巨赤芽球性貧血という悪性の貧血がみられます。しかし、妊娠中の女性は、必要な量が通常の2倍近くになることで不足しやすいため、積極的な摂取が望まれます。 若い女性が極端な食事制限によるダイエットで葉酸不足になっていた場合、初期の妊娠に気づかず胎児へ悪影響を及ぼすことも心配されています。 1日の必要量 男性:240μg 女性:240μg

パントテン酸

パントテン酸 三大栄養素のすべての代謝で重要な働きをしています。 皮膚や粘膜の健康維持、コレステロール、ホルモン、免疫抗体などの合成にも関係しています。 不足すると、成長障害、手足の知覚異常、頭痛や疲れ、傷の治りが悪くなります 1日の必要量 男性:5mg 女性:5mg

ビオチン

皮膚の炎症やかゆみの原因となるヒスタミンという物質の産生を抑える働きがあり、細胞が規則正しく生まれ変わる為に必要な栄養素です 髪の毛を健康に保ったり、筋肉痛を和らげたりする効果があります。 不足すると... 糖代謝が正常に行われず、乳酸が蓄積して血液が酸性になる乳酸アシドーシスになります。 免疫不全症や、皮膚の感染、知覚過敏、糖尿病のリスクが高まることが知られています。 ビオチンは腸内細菌によっても合成されるので、通常の食生活で欠乏することはないと考えられますが、遺伝的にビオチンを再利用・活性化するための酵素が欠損している場合は欠乏症状が現れます。 1日の必要量 男性:50μg 女性:50μg

ビタミンC

皮膚や粘膜の健康維持鉄の吸収を良くしたりします。さらに、抗酸化作用もあり、有害な活性酸素から体を守る働きをすることから、動脈硬化や心疾患を予防することのできる栄養素です。 ほとんどの動物は、ブドウ糖をもとにしてビタミンCを体内で合成することができますが、人間は生合成に必要な酵素が欠損しているため、ビタミンCを合成することができません。 不足すると... 倦怠感、疲労感、気力低下の症状が出てきます 寒さや細菌に対する抵抗力が下がって病気にかかりやすくなったり、骨の発育が不十分になったりします 疲労、睡眠不足、働き過ぎなどストレスの多い人・アルコール依存症者・喫煙者・食生活に極端な偏りがある人はビタミンC不足を特に意識しなければなりません。 1日の必要量 男性:100mg 女性:100mg

3.サプリで摂るのもおすすめ

これだけのビタミンを毎日食品から適正量摂ることは難しいです。水溶性ビタミンは加熱や水洗いで失われてしまう可能性があり、野菜から摂るにしても近年大量生産や品種改良などが進むにつれ昔よりも栄養価が下がっているとも言われています。1日に必要な量のビタミンを摂る自信のない方はサプリメントを活用してみるのもいいかもしれません。 こちらのサプリメントではビタミンだけでなくミネラルもまとめて摂れます

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4.まとめ

・カラダの構成成分にはならず栄養素の働きをスムーズにする潤滑油のような役割 ・血管や粘膜、皮膚、骨などの新陳代謝を促し、健康な状態に保ちます ・水溶性は体に保持できない為こまめに摂る必要があるが、過剰症になりにくい ・脂溶性は肝臓に貯蔵できる為不足しにくいが、過剰症に注意が必要